大地震の後ということもあって、利益が出ないことを震災のせいにしてしまう経営者によく出会います。その影響が小さいとは言いませんが、同じ事態を目の前にしてもプラスに反応する経営者もいるのですから面白く思います。やれバブル崩壊、サブプライム、リーマン、地震、雷、火事……言い訳をしても誰のためにもなりません。
仮に利益責任を逃れたところで、借金の連帯保証人になっているのは社長自身なのです。銀行は絶対に勘弁してくれません。最後は誰も助けてはくれないのですから自分で決断して動くしかありません。
また収益が悪化すると、安易な経営者ほど会社の将来を深く考えることもなく経費を削って利益を出そうとします。無駄な経費を削ることは必要ですが、これは頭を使わなくて済む誰にでも出来る簡単な方法です。しかし平時においての経費を削っての益出しはタコが自分の足を食っている状態と同じです。短期的に黒字が出たとしても一時凌ぎに過ぎません。
経営者は、まずもって利益というものは外部にしかないと認識するべきです。外から獲得してきた利益をまた未来の収益を生むためのコストとしてブチ込むのが有能な経営者なのです。利益を外に求めずに未来収益の為のコストを削るようでは経営者として大いに問題ありです。
利益が出るかでないかはすべて社長次第です。結果責任は経営者にあるのであって社員にはありません。私はいまだかつて社員が悪くて潰れた会社を見たことがありません。社員が問われるのは、任された業務を実施する責任のみです。
確かに天災などの不可抗力で会社が苦境に陥ることはあります。しかし、それらも含めて上手く対応できているか、用意ができているかも社長次第ということなのです。運が良かったり悪かったりといった問題ではありません。
社長の満足が組織の緊張感を緩めてしまうのです。組織活性化の最大条件は危機意識とも言えます。そう考えると、先の震災による緊張感も経営にとってはプラスになるのではないでしょうか。