商売とはなかなか上手くいかないものだ、中小企業経営者のなかにはこんな考え方をしている人がいます。私も、商売が簡単だとは言いませんが、真剣にやっていれば程度の差はあれど上手くいくものだと確信しています。
商売は活動に応じて成功が積み重ねられていくのが普通です。お客様の立場に立って一所懸命やっていれば結果がついてこない筈がありません。いくら頑張ってもいい結果が得られないのだとしたら、それはやり方が悪いのではなくて経営者としての考え方が間違っているのです。
経営者の根本的な考え方が間違っていると、何度も同じような失敗を繰り返してしまうことになります。たびたび不渡りをつかむ、お客様とよく揉める、多くの社員が辞めて行く、車両事故が頻繁に起こる、これらは社員や会社を取り巻く環境の責任ではありません。商売にそういった失敗はつきものだと、経営者が心の奥底で認めてしまっているから起こるのです。経営者がトラブルを望んでいるとは言いませんが、人生観がそうした症状となって表れているのです。
また、自社の業績が悪いのが、景気のせいだと本気で思っている経営者もいます。好不況で業績が決まるのであれば、誰が経営しても同じ結果になってしまいます。中小企業における業績への影響は、世の中の景気よりも経営者のマインドの方が大きいのです。「商売というものは不景気でもよし、好景気であればなおよし。真の経営者は、不景気に際して、かえって進展の基礎を固めうるものである」と言ったのは松下幸之助翁です。
イベント関連、建設関連、飲食店、震災の影響で大きく落ち込んだ業種も回復してきています。夢に向かって頑張ってきたのに、あの大津波で一瞬にしてすべてを亡くしてしまったり、生き残っても何もかも流された人たちもいるのです。それを考えれば、商売を続けていられるだけでも感謝すべきです。
しかし、時代が動いているときにはチャンスも増えます。福島では、婚約指輪や結婚指輪の売り上げが、震災前と比べて150%と伸びているといいます。新しい価値観、新しいテーマを模索してチャンスをつかんで欲しいものです。自分から動かないことにはなにも始まらないのです。