目標

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 会社の経営は目標を設定して取り組むのですが、計画通りに進まないことも少なくありません。経営者が確信を持ってはじめたことも実際は、やってみなければ分からないことばかりです。

 顧客を開拓できない、資金が回らない、社員が育たない、社員が退社していく。なかなか思い描いた通りにいくものではありません。そんなとき経営者はしばしば孤独感に陥ってしまいます。夜中に目が覚める、食欲がなくなる、胃が痛む、極端な場合は生存目標すらなくなってしまいます。

 みなさんが事業を起こした時のことを思い出してみてください。まだ何も達成していないのに計画しているだけで楽しかった筈です。人間は目標に向かって進んでいるときに幸せを感じるものです。目標があることそのものにワクワクするのです。反対に目標を失った人は、そういった楽しさや幸福感まで見失ってしまいます。ですから目標は大切なのです。

 昨今の厳しい環境下では、社員の幸福を追求する経営者であっても、給与や人員の削減といった問題に向き合わなくてはならないことがあります。答えのない矛盾した課題に判断を下していかなければならないのです。その最後の決断は経営者がひとりでするしかありません。すべての結果を自身が受け入れるしかないのです。

 さらに、ひとりで判断しなくてはいけない経営者には、身近に相談できる人物が必要です。その相談相手は価値観が同じである必要はありません。かえって異業種の人や違った考え方を持った人の方が角度を変えた意見が聞けるのでいいくらいです。私自身がそんな相談相手に選んでいただけたら本当に嬉しいことです。また当社の社員に愚痴や悩みを言っていただくのもいいかもしれません。話すだけで楽になることも多いものです。

 経営者に悩むなと言っても無理なことでしょう。ですから基本的には、あまり考え込まなくても済むように、忙しくやっていることがいいのです。あまりに上手くいかないときには無理をせず、ある一定期間は会社を維持できるだけの、生存できるだけの最低限でもいいと割り切って目標を下方修正することも必要です。目標は大切ですが、目標そのものが目標なのではありません。目標とは変えてしまってもいいものなのです。目的を達成していくための目標なのですから。