ものごとにはツキとか流れというものがあります。ゴルフを例にすると、せっかくパーオンしても3パットのボギーを2〜3ホール続けると流れはすっかり変わり、ボギーやダボの連発となってしまうことがあります。麻雀でもいい流れの時に当り牌を見逃してツイていない相手にツモ上がりされてしまうと、流れはアッという間に相手に移ってしまいます。二人以上の人がいれば、必ずツイている人とツイていない人とがいるものです。

　3パットやロン牌見逃しは深く考えずに何気なく過ごしてしまっているときに起こりがちです。つまり緊張感のない時が危ないのです。たまたま失敗したけれど小さな失敗だから大丈夫とタカをくくっていると、あにはからんや。小さなミスが流れを変えてしまうのです。

　 これは会社の経営でも同じです。経営をゴルフや麻雀と一緒にするなという向きもあろうかと思いますが、ビジネスもまさしく勝負事なのです。仕事の本質は他人や他社との競争に勝つことのほかにありません。戦略、戦術、スキル、チームワーク、運……スポーツや勝負事と同じではありませんか。自分に流れがきていないと思えるときでも、けっしてへこたれてはいけないのです。

　他人に勝ち、自分にも勝つ。大変厳しいのがビジネスの世界です。しかし、そこはただ苦しく辛いばかりのところかというと、決してそんなことはなく、人に認められ、達成感があり、職業人としてスキルを高め、人として成長し、経済的にも恵まれる。こんなことはビジネス以外では経験できません。

　勝負事には、「勝ちたい」ではなく「勝てる」という強い思い込みが必要です。勝ちたいと思っているだけの人は少しの困難や挫折で仕方がないとすぐに諦めてしまいますが、勝てると思い込んでいる人は目的に向かってどんなに大きな困難も将来の夢の実現のための試練と捉えてエネルギーに変えてしまうのです。諦めずに続けていけば必ず女神が微笑むと潜在意識で考えられる人こそ、上手くいくものなのです。

　どんな会社でも、課題がひとつもないということはありません。私たちが直面している悲観的な課題は、考え方次第ではそのほとんどが易しいとは言えないまでも、解決可能なことばかりなのです。反対に、悲観的な目で眺めれば、そのすべてが困難で解決不可能なものに思えてきます。

　悲観的な見方をする人や目線が下がっている人には決してツキは回ってきません。優柔不断で無難な人生を送っている人にも大きなツキは回りません。たとえ目先の勝負に負けてしまっても、けっして諦めないことです。諦めて勝負から降りてしまったら、勝ちはないのです。

　同じものを見ても、人によって違って見える。同じものに接しても、人によって違った感じ方をする。どのように見えて、どのように感じるのかはその人の考え方の癖によります。考え方の癖、これは能力そのものなのです。