中小企業のオーナーのわたしが言うのもなんですが、世の中には社員が人生をかけられるほどの価値のある中小企業がどれだけあるでしょうか。ご自分の子どもや兄弟を就職させたいと思える中小企業を数えてみたら、その少なさがお分かりになるはずです。
厳しい環境の中で就職活動をしている若者たちには気の毒ですが、同じように頑張って仕事をしても、勤める会社によって待遇や環境に違いが出てしまいます。待遇や環境がすべてではありませんが、経営者の基本的な考え方と能力の一部が目に見える形でそこに表れるのです。どんな経営者のもとで働くかで自分の将来がずいぶんと違うものになってしまうのですから、就職は人生の大きな分岐点になります。
自分に合った会社に就職するためにも希望する会社の文化を知ることが大切です。しかし、中小企業は大企業と違い情報量が少ないために文化が見えてきません。そこで、面接では会社側から一方的に観察されるのではなく、行った会社の経営者や社員の品定めをしたらいいのです。経営者がどこを目指して何をやろうとしているのかを聞いてみたらいいのです。
社員は会社の行き先を自分たちで決めることはできません。ある意味、それは経営者だけに与えられた特権なのです。社員はもしも行き先が希望に合わないのでしたら船を乗り換えるのもひとつです。
もっとも、転職を繰り返してきた人にはわかるでしょうが、誰もが思うような理想の会社にはなかなか出会うことができないことも事実です。そんな会社などないからこそ理想ですし、あったとしても入社するには大変な競争率のはずです。ですから社員も不満を言うばかりではなく、会社を自分の理想に近づけるべく経営者と語ったらいいのです。それができるのが中小企業なのですから。
そして、どうしても納得ができなかったとしたなら、その時は起業して自分が理想とする会社を作るしかありません。文句や批判だけなら誰でも言えます。あなた自身が作った会社で、今と同じように熱く夢を語り、社員に不満もストレスもない理想を体験させてあげるのがいいのです。