昨年に引き続き、大石会計事務所では来春大学卒業予定者を対象とした会社説明会を開催しました。今年も多くの若者たちが多摩地区の小さな会計事務所に集まってくれました。とてもありがたいことではありますが、わたしの本音としては、良いのやら悪いのやら、といったところです。
わが社は社員にも恵まれているいい会社だとは思いますが、大学生から見たらなんの知名度もない小さな事務所に過ぎません。そんな会社に大学生が就活で足を運ぶ。税理士として独立開業を目指して就職したいのではなく、大石会計事務所を一企業として社会人スタートの選択肢に挙げてくれているのですから、これは景気の悪さ以外の何物でもありません。
若い人たちにとっては、ある意味人生がかかった就職活動ですから、どなたも真剣勝負です。しかし、会社によって自分の人生が変わるなどと思わない方がいいと思います。わたしもそうでしたが、就職した会社によって人生に多少の変化はあるのかもしれませんが、むしろその会社でどのような目的を持って過ごすかの方が重要です。
いい会社に就職できたから素晴らしい人生が送れるのではなくて、どのような人生観を持っているかで素晴らしいビジネスマンになれるのです。就職先がどこでもいいとは言いませんが、就職することは自己を実現するためのひとつの手段に過ぎません。決して就職したことで実現されるのではありません。
それにしても、わたしが若かったころの景気は、多少の山谷はあれども基本は右肩上がりでした。社会はどんどん良くなっていくと信じていました。自分の子どもや孫たちの時代には素晴らしい未来が待っていると思い込んでいました。
それに引き換え、いまの若者たちは気の毒に思えてなりません。いい時代を知らないだけならまだしも、過去のおとなたちが作った重荷をこれから背負っていかなくてはならないのですから。
わたしたちおとなは、国の借金を減らしていかないことには若者たちに顔向けができない立場だということを心しておくべきです。まずはおとなたちが辛抱しなくてはいけません。子ども手当や高速道路無料化などと喜んでいる場合ではないのです。