春です。春といえば門出。入学、進学、就職と、身内で新しい門出を迎えた方もいらっしゃるのではないでしょうか。わが家の息子も今春から中学生です。少し生意気になってきたけれども、これぐらいの年頃はまだまだかわいいものです。
春の定期採用のない大石会計でも、4月という月はなにか心が改まる節目を感じます。新入社員を迎えた会社では、期待と不安が入り混じった彼らにどのように接するべきか、先輩社員の心構えはできていましたでしょうか。
新入社員を少しずつ職場に慣らしていく会社と、いきなりガツンと気合をこめる会社と、どちらがいいのかはわたしにも分かりませんが、なにごともはじめが肝心と言います。学生時代に身についたものが垢なのか膿なのかはともかく、それを早く落としてやることは会社のためでもありますがむしろ本人たちのためになります。
新入社員に最初に教えなくてはいけないことは挨拶と電話応対です。挨拶はコミュニケーションのはじめの一歩ですからとても大切なのですが、最初からきちんとできる若い人にはなかなか出会えません。電話に関しても普段の生活で日常的に使っているとはいえ、褒められるような応対ができる人にはこれまた滅多に出会えません。
中小企業の多くはしっかりした社内教育ができていませんから、ベテランの社員でも名刺交換や挨拶の下手な人が目につきます。上手な人の行動を観察していたら、もう少し上手くできてもおかしくないのにと思うほど、洗練された人が少ないものです。
普通の家庭や学校ではマナーやコミュニケーションについて強調して教えられることは少ないものです。教えられていないのですから出来なくても仕方がないのですが、だからこそ会社で教育しなくてはならないのです。
大昔でしたら、生きて行くためには獣を捕らえたり木の実を採ったりしていればよかったものですが、今では多くの人と関わりを持たないことには生きていくことが出来ません。したがって、技術や知識だけではなく人とのコミュニケーションというものが大切であることは今さら言うまでもありません。
むしろ現代では、技術や知識以前のコミュニケーションの能力が求められているといっても過言ではありません。技術や知識の面で多少劣っていたとしても、コミュニケーションが上手な人でしたら活躍できる場はいくらでもあります。
しかし同じことを言っても、相手への伝わり方は伝える人によって違ってくるのです。あなたがどんなにいい人であったとしても、それが相手に伝わらないことには全く意味がないのです。この時期は、新入社員のコミュニケーション能力の向上はもちろんのこと、それを教える側のコミュニケーション能力も試されるのです。