ビジネスの基本は安く買ったモノをできるだけ高く売ることです。誤解されては困るのですが、これは決してお客様を欺く行為を勧めるものではありません。
会社は常に粗利(=売上△仕入)を大きくすることを目指さなくてはなりません。同じモノを売っても、値引きすることでしか売れないような営業マンでしたら大いに問題ありです。単にモノを売ろうとするから、ライバルとの価格競争になってしまうのです。
お客様の立場からすると、商品が安いことよりも、多少高くても信頼できる営業マンから買いたくなるものです。あるビジネスマン研修では「エスキモーに氷を売れ」と、相手にとって必要のないモノでも工夫や人間力によって売れるのだと説いているくらいです。
先日、某カーディーラーの元営業マンから、自社の取扱い車種と自分が売りたいものとの違いが大きくなったのが転職した理由だと聞きました。自社の営業マンが納得して売りたいと思えるモノを扱っている会社がどれだけあるでしょうか。これでは営業マンはこれから何度転職を繰り返すのか分かりません。
ホンダ車の営業マンがトヨタ車のほうが魅力的だと思っているようでしたら、その営業マンの販売成績は間違いなく悪いはずです。モノそのものがよければ能力のない営業マンでも売れてしまいますが、そんな素晴らしい商品などなかなかないのが中小企業なのです。
それでも自社商品のいいところを社内でもう一度確かめ合うことが必要です。売りたければ、いいところだけを凝視して営業する方がいいに決まっています。中小企業には大手企業を上回る商品や技術はなかなかありません。それこそ中小企業が中小企業たる所以でもあるのですから。
お客様に高く買っていただくためには、商品そのものに付加するサービスや物語が必要となります。何の違いもないモノを買うのであれば、誰だって安い方を選ぶに決まっています。そこをあえて高くても買っていただけるように創意工夫するのがビジネスではないのでしょうか。