はじめの印象

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 ある歯科医院での患者さんへのアンケートでは、はじめに抱いた印象が後々まで影響するという結果が出たそうです。電話応対、駐車スペース、受付の対応、待合室の雰囲気、待ち時間などについて、はじめにいいイメージを持った人は治療そのものにも納得し、反対によくないイメージを持った人は治療そのものまでも不満に思ってしまう傾向にあったそうです。

 技術者や職人さんはスキルにこだわる傾向にありますが、モノやサービスが提供される前におおよその勝負が決まっているのだとしたら、こだわるべきところが少し違ってくるのではないでしょうか。

 基本業務の質を上げていくことは大切ですから、会社としては真剣に取り組む必要があります。しかしその結果、品質の向上をしたモノをお客様にご理解いただけるかどうかはまた別の話なのです。

 ある水準を超えてしまうと、お客さまには品質そのものの良し悪しの判定が難しくなってしまいます。つまり、基本の業務での差別化は簡単ではないのです。

 お客さまは多少の製品不具合でしたら許してくれますが、サービスの悪さについては決して許してはくれません。スペックやデザインに大きな違いがないのであれば、サービスの差によってどこから買うのかを決めてしまうのです。では、どのようにサービスに差をつけたらいいのでしょうか。

 大切なことは、気持ちよくお客さまをお迎えしようと意識改革を図ることです。ただし、意識が改革されているかどうかは本人以外には分かりづらいので注意してください。

 具体的には電話は2コール以内にとる、ウェルカムボードに名前を書く、お客さまを玄関先まで出迎える・見送る、雨の日には乾いたタオルを差し出す、お茶をこまめに取替えるといった、小さな違いをたくさん作ることで「この会社はよそとは違う」と感じてくれるのではないでしょうか。

 同じようにサービスを受けても、満足される方とされない方とがいます。満足や納得というものは主観の問題ですから、長さや重さのように客観的な測定方法はありません。それだけにサービスの提供者は、お客様の満足の度合いを自分にとっていいほうに解釈しがちですから注意が必要なのです。