みなさまは成功といったらどんなイメージを思い浮かべるでしょうか。お金をたくさん持っていて、カッコいい車に乗っている、それが若いころのわたしにとっての成功のイメージでした。
収入が多いこと、豪邸に住むこと、大きな会社を経営していること、すごい人脈を持っていること、このように成功がある一定の状態を意味するものだとしたら、二代目経営者は何もしなくても成功者ということになってしまいます。そしてなにより多くの人々にとって、その道は果てしなく遠く険しいものに感じてしまうのではないでしょうか。
数年前にSMIのポール・J・マイヤーの成功に対する考え方に出会ったことで、わたしのパラダイムは大きく転換しました。ポール・J・マイヤーは成功を「自分にとって価値ある目標をあらかじめ設定し、それを順を追って達成していくこと」と言っています。
ある大きな結果のみを成功と言うのではなく、各人が価値ある目標に向かって変化していく過程を成功だとすると、変化の苦しみさえも楽しく思えてくるのではないでしょうか。この数年間、大石会計が大きく変化してきたのは、わたしの中でのそんな気付きの影響が大きかったのではないかと思っています。
ところで意外と同義にとらえられがちなのですが、成功と幸福とは少し違うようです。成功しても幸せではない人たちがいますし、反対に成功していなくても幸せな人たちもいます。
わたしたちは事業経営をしている以上、手段としてのおカネは持っていなければなりません。あればあるほどいいともいえます。しかし世の中には経済的な成功とは程遠くても幸せな人たちはたくさんいるのです。むしろ心穏やかに生活しているのはそんな人たちなのかもしれません。
お金がないことが不幸だとしたら、東南アジアやアフリカの途上国の人たちはみんな不幸ということになってしまいます。ところがある調査によりますと、世界の幸福度ランキングでは日本は90位だというのですから、経済力と幸福度はどうやら連動していないようです。
日本人は平和ボケしているとかありがたみを感じない感謝知らずの国民だとか言われますが、もしかしたら経済的な成功を幸福度にリンクして考えてしまうことに問題があるのかもしれません。
平均寿命が80歳の国と50歳の国の国民を比べて、長生きの国民のほうが幸せに決まっているというそんな価値観がそもそも間違いなのかもしれません。きっと幸福とは、ある一定の条件によって計られる性質のものではないのでしょう。