このごろは会社の寿命10年時代と言われます。かつては30年説が唱えられたこともありましたが、みなさまの会社は創業から何年が経っていますでしょうか。
大石会計事務所で20年間にわたって多くの中小企業と関わらせていただいたわたしの経験からすると、世間で言われるほど会社の寿命は短くないのではと感じています。では、いったいどんな会社が長生きをして、どんな会社が短命に終わるのでしょうか。
日本人の平均寿命は女性86歳、男性79歳と言われます。人間の寿命には食生活や生活習慣は影響するのでしょうが、その人がどのような生き方をしてきたのかはあまり関係ありません。善い行いをした人が長生きをして、他人に迷惑をかけてばかりいる人が短命に終わるということはないのです。
ところが会社の場合はどうでしょうか。人間と違って設立した時の平均寿命が10年とか30年とかは、まったくもって参考になりません。会社がどれだけ長生きできるのかは、その会社がどれだけ人様のお役に立っているのかで決まるのです。
会社は人様の役に立たなくなったらその時点でアウトです。会社には介護も生活保護もありませんから、そこで寿命は尽きるしかありません。ここが人間と会社の決定的な違いであり、反対に人様の役に立っている間はその会社の寿命が尽きることはないのです。
そんなことは言われなくても誰でも分かっているのですが、現実には自社に都合のいい解釈をしてお客さまに不便をかけているケースも少なくありません。電話対応ひとつとっても、自動音声による受付、始業前に出ないこと、お昼休みや夕方5時直後の留守番電話などお客様目線ではないなと思えることがたくさんあります。
結局のところ会社の売り上げとなるお金を支払ってくださるのはお客さまだけですから、お客さまに親切に接するのは当たり前のことです。しかし、それが分かっていても人はついつい自分中心に考えてしまいます。そして、気付いた時には当社のお客様だと思っていた方が、他社のお客様になっていたという残念な結果になるのです。