社員満足

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 人、モノ、金、情報などの経営資源が乏しい中小企業にとってより多くの収益を生み出すためには、生産性を向上させることが必要です。規模の利益を享受できないのだから中身の濃さを目指さなくてはならないのが中小企業なのです。
 では生産性を高める最大の決め手が何かといえば、社員の自主性が大きな要素であることは間違いありません。社員が会社や上司から一方的に押し付けられた仕事をしているうちは創造性の高い仕事は期待できないものです。

 どんな時に社員の自主性が発揮されるのかといいますと、社員がその仕事にやり甲斐を感じているときです。そして仕事にやり甲斐を感じるのは何と言っても顧客満足の創造に関わることができたときではないでしょうか。つまりお客さまから「ありがとう」という一言だけで社員はやり甲斐を持ててしまうものなのです。

 しかし会社がこれと反対のことをやっていたとしたらどうでしょうか。社員に今やっている仕事の目的を理解させずに、会社が決めたことを単純に押し付け、さらには徹底した行動管理で効率を追求する。これでは一時的に収益改善できたとしても、長続きさせることは難しいでしょう。

 社員満足度が低い会社の社員が、お客さまに満足していただけるような質の高い商品やサービスを提供することはできません。したがって顧客満足を考えれば考えるほど社員満足を避けて通ることはできなくなるのです。

 そしてその社員満足のためには、人事評価や職場環境、福利厚生も大切なのですが、何より組織の方向性、価値観の共有、お客様や仲間たちとのコミュニケーションといったことが不可欠な要因になってくるのです。

 給料が安いとか仕事が辛いとか、そんな理由で有能な社員が辞めていくことはありません。経営者が社内でビジョンを語り夢が共有され、上司や同僚とのコミュニケーションがうまくいっていれば、多少の不平など消え去ってしまうものなのです。

 社員にとっての最高の満足はやり甲斐です。誰でも価値ある存在になりたいと思っているのです。そのための環境を整えてやることは経営者に課された大きなテーマのひとつではないでしょうか。