朝遅く出勤してくる人を揶揄して重役出勤と言いますが、あなたの出社時刻はいかがですか。出社時刻の早い遅いでその人の仕事能力が決まるわけではありませんが、社長の出社時刻と企業の業績とは無関係とも思えません。ちなみに、キャノンで重役出勤とは、朝早く出社することだそうです。
朝食を毎朝食べている子どものほうが、食べていない子どもより成績が良いという調査結果があります。家庭の習慣と文化は子どもの成長に深く影響する筈ですから、それには、なるほどと納得できました。と同時に、その記事を目にしたときに、わたしは出勤時刻の早い人と遅い人を思い浮かべてしまいました。やはり、意識と習慣の違いが仕事と無関係である筈がありません。その分夜遅くまで仕事をすれば同じだろうと、そんなに単純なことには思えないのです。
では、わたしはどうかと言いますと、始業時刻の1時間以上前には出社しています。というわたしも、かつては夜中まで仕事をして朝の出社は始業時刻ぎりぎりの日々を送っていたものです。しかし、10年ほど前にある人から、「経営者が夜中まで仕事をして何の自慢になるのですか」と言われ、素直なわたしはすぐに反省をいたしまして、それから朝は十分な余裕を持って出社するようにしました。なにより、出社と同時に伝言、相談、打ち合せでは、朝から自分のペースで仕事が出来ません。
実際、社長が夜遅くまで仕事をしている会社で優良会社はほとんど思い浮かびません。社内がシステム化されていたら、経営者が夜遅くまで仕事をすることはないのです。そのような状態があったとすれば、それは経営者がやるべき本来の仕事を理解していないということを意味しているのです。
松下政経塾元塾頭の上甲晃氏は、松下幸之助氏をはじめ本当に偉くなった経営者には三つの共通点があると言います。
1.朝が早い
2.とにかくシツコイ
3.細かいことにうるさい
たしかに、優れた経営者の多くは重役出勤ではありません。諦めがよいのもダメです。勝負事は勝つまで止めないくらいのしつこさが必要です。そして、一見おおらかそうに見えても、お客様に対する気配りや、コスト意識などは慎重というより過敏とも言える細かさを持った人も多いものです。
わたし自身もこの三つの共通点を持っているように思えますから、これから先、もしかしたら偉くなってしまうかもしれません。しかし、これは一歩間違えば、やかましくて嫌なオヤジの共通点でもありますね。