外見

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 西暦で4の倍数の年、つまり今年は閏年(うるうどし)であり夏季オリンピックとアメリカ大統領選挙が行われる年でもあります。そのアメリカ大統領選挙では、各候補者陣営にはメーキャップの専門家がついていることは有名ですが、その影響もあってか、いまでは日本の政治家もメディア対策で外見を重視するようになってきました。

 「人は、あなたの表情や外見に合わせて、それにふさわしい対応をしている」こう言って、見た目の重要性を説かれるのは、歴代総理から馬の顔まで10万人のメーキャップをしたという元NHK美粧師の岡野宏さんです。

 今日お会いしたお客様、いつもと違うような気がしたけど機嫌でも悪かったのかな、なんて思うことが時々あります。このように、人は外見に対して非常に鋭い観察眼を備えています。コミュニケーションの最中も、相手の目や眉、口元の動きなどから心を読み取ろうと全神経をフル稼働するものです。逆にこれをやらないようでは、気配りの出来ない鈍感人間と評価されてしまいます。

 自分の思いを相手に伝えようとどんなに一所懸命しゃべってみても、相手が受け止めた情報のうち話の内容そのものから伝わったもの、つまり言語情報はほんの7%に過ぎず、残りの93%は表情や声のトーンなど話の内容とは全く違うところに影響されているとは、アメリカの心理学者メラービアンの法則です。

 売れないセールスマンは、本来伝えたいことを言語情報で伝えようとする人が多いのですが、売るためには話の内容以上に、見た目と話し方に気を遣わなくてはいけないというものです。

 岡野氏は、「人間の内面を唯一表現できるものは、顔の表情、動きや身につけるものなど外見でしかない」とも言います。表情や見た目にはその人の価値観が最も端的に現れますから、無頓着であることは自慢にはなりません。特に見た目のだらしなさや不潔さは、そのことがその人の価値観だと判断され兼ねません。いいえ実際には、それがその人の価値観なのです。誰もが表面的なものではなくて、深いところで人物評価してくれるといいのですが、現実には最初の印象がその後の人間関係に大きく影響してしまいます。

 アメリカでは太っている人や喫煙している人は、自己管理能力がないとみなされ昇進にマイナス作用するといいます。自己の管理さえできない人が、他人に対しての管理能力も疑わしいのと同じように、自分の表情や外見に無頓着な人が他人に細やかな神経を使うことができるかどうかは疑わしいと判断されても仕方がありません。

 少なくとも、一瞬の印象で判断されてしまうビジネスマンは、顔の表情や身に着けるものなど、外見を気遣うことで損をすることはひとつもないのです。