先日、中小企業の社長7人が集まった席で「どんな飲食店が流行るのか」という話題になりました。流行る飲食店の要素……あなたは何だと思いますか。
「味がよければ流行る」と主張された社長が4人、そして「味以外にもっと大切なものがある」と主張された社長が3人と大きく二つに割れました。ちなみに、そこには飲食店経営者は一人もいなかったのですが、わたしはそれぞれの割れた主張を唱える社長にはある共通点があることに気がつきました。
その共通点とは、味を主張された社長自身が経営する会社は業績的には苦戦しており、味以外の要素が大切と主張した社長の会社はどこも比較的順調な業績をあげていたことです。これは偶然なのでしょうか。サンプル数が少ないとはいえ、商売のヒントがここにある気がします。
飲食店で味が重要なのは誰でも分かっています。しかし、味が良ければそれだけで繁盛しているかというと、さてどうでしょうか。わたしたちは日ごろ利用する飲食店を、美味しいと思い込んで行っているだけということはないでしょうか。行列のできるラーメン店の味も、目隠しで食べ比べテストをしたら美味しいと感じるかどうか、わたしには自信がありません。
反対に、あなたが二度と行かないと思ってしまった飲食店にはどんなお店があるでしょうか。不味いから行かなくなったなんてお店がはたして何軒あるでしょう。値段が高い、愛想が悪い、食事が出てくるのが遅い、料理の量が少ない、席が狭い、あまり綺麗でない、他の客質が悪い、駅から遠い、駐車場がない等、そのほとんどが味以外のストレスで利用しなくなっていることはありませんか。
どんな業種においても本質が大切なのは言うまでもありません。飲食店でしたら味ですし、弁護士は法律知識、医師は医療技術、歌手なら歌唱力等々です。ここは絶対に疎かにしてはいけないところです。しかし、そんな本質が優れた人たちの誰もが成功しているかと言うと、実際はビジネスではまったく違うところで評価されてしまうことに気付いてもらいたいのです。
美味しい料理が売れるのではなくて、売れる料理が美味しいというのがビジネス的なモノの考え方です。ましてや「オレの味を理解できないお客はレベルが追いついていないんだよ」なんて訳の分からないことを言う料理人が時々いますが、そんな人は顔を洗って出直すべきです。あなたが選択するのではなくて、あなたは選択される立場なのですから。