小さな町でNo.1

LINEで送る

 小さな会社が大きな会社と戦う場合において、同じ戦術を用いていては勝つことは不可能です。それだとブランド力に優る一番店が強いに決まっているからです。相手が大会社ではないにしても有力な地域ナンバーワンの会社と戦う場合には戦い方があるのです。

 たとえば、あなたの町の小さな飲食店が大手ファミリーレストランのようにテレビや新聞広告で宣伝したところで効果は薄いことはお分かりいただけるでしょう。効果はゼロではありませんが確実にコストが収益を上回ります。こんな営業をしていたのでは弱小企業はすぐに潰れてしまいます。

 かつて大石会計では路線バスに1年間にわたり広告を出したことがあります。効果はと言いますと、恥ずかしながら見事な完敗でした。ブランド力のない中小企業の営業活動としてはやってはいけないことだったのです。

 対象を広くしての営業活動が有効なのは大手企業や地域のトップブランドの場合です。弱小企業ほど特定地域や特定顧客に営業資源を集中した活動をしなくてはマーケットに対する影響力は薄れるばかりです。

 特定地域においてトップシェア、トップブランドになると2番手企業に比べて営業はぐっとし易くなります。そのためにも市場が小さく一見すると商売に不向きであるような地方都市や郡部で一番になることは、小規模企業にとっては賢い戦い方でもあります。大企業には絶対に真似の出来ない戦術だからです。

 たとえその地域に大企業が小さな営業所を構えていたとしても、一騎打ちの営業合戦でしたら兵力を多く投入した方が圧倒的に有利なのですからあなたの会社に軍配は上がることでしょう。

 そもそも地理的には孤立した一見すると商売には向いていないような地域には強い競争相手も少ないものです。地方の信用金庫をイメージすると分かりやすいでしょう。大都市でメガバンクと戦っては信用金庫はひとたまりもありませんが、小さな地方都市においては人海戦術で特定地域に営業力を集中させることでシェア一番も獲得できるのです。営業に人を投入せずにメガバンクと同じ戦い方をしたら、どんな負けっぷりをするかは火を見るより明らかです。

 あなたの会社がより大きな成果を求めて都市部への進出を検討しているのでしたら、まずは地域一番店になることです。地域の一番店になれずして隣町にまで手を広げると、どちらの町でも負け組になる可能性があります。人口が倍になると顧客も倍になるとの考えは大きな間違いなのです。