このごろは語る価値もないような企業不祥事が増えています。もっともそんなズル賢いことをする輩は昔からいたのでしょうから、かつてより社会の目が厳しくなったということなのかもしれません。
こんな経営者にとっては、人様に多少迷惑がかかろうが、社員に陰口を利かれようが、儲けることが最大の目的だと勘違いしているのですからどうにもなりません。それにしても、家に帰ってから奥さんや子どもたちとの会話で「お父さんは、今日もずるいことやって儲けたよ」なんて言うことができるのでしょうか。
会社は間違いなく社会に存在させてもらっているのです。それはつまり、社会の役に立たない会社には存在する意義がないということでもあります。そんな会社は、お客様や社員が次第に離れていきますからいずれ存続できなくなるのです。
役立つという点においては、民間企業以上に公務員の方には社会の役に立って欲しいものです。異議を唱える方もいらっしゃるかもしれませんが、公僕とも言われますように社会に奉仕するのが公務員の仕事なのですから。しかし、そんな公務員のなかにも存在意義の全くない呆れた人が時にはいます。
以前、本来であれば税務調査などあり得ない規模の顧問先に現況調査(突然やってくる調査)が入りました。調査は店舗、社長の自宅、取引銀行に各2名の調査官が朝一番で入り二日間にわたって行なわれました。この会社にそのような調査が行われたのは、きっと嫌がらせの密告電話かなにかがあったのでしょう。
顧問先の社長はいつもどおり紳士的に対応していただけに、税務職員の強引な対応には少し呆れてしまいました。結局、二日間の調査で指摘された項目は「3400円の商品1点の行方が分からない」ということだけです。過去3年分調べて34万円ではなくて3400円が不明だというのですから、わたしが言うのもなんですが、そんなのどうでもいい程度の話です。しかも在庫洩れではなく、あくまで確認ができないということなのですから。
これは、その会社が期中の入出庫まで記録していたために、たった1点の不明な商品を指摘されてしまったのであって、もし台帳をつけていなければ指摘さえされない程度のものです。きっちりやった結果が仇になってしまうのでは、きちんと帳簿をつけている会社は浮かばれませんし、われわれ会計事務所も正確な帳簿の指導などできなくなります。
誠実に商売をやって真面目に納税している人たちが、重箱の隅を突かれるようでは困ってしまいます。真面目な納税者に対しては、褒めてさらに育ってもらうということも必要ではないでしょうか。税務職員の方が、悪者退治ではなくて納税者育成という使命観を強く持たれると、社会的地位はさらに高くなると思うのですが。