紙に書くといいますと、このごろは名刺交換した後に、手書きの葉書かメールを送ってくる方が多くなりました。割合でいうと2割ぐらいの方がなんらかのアクションを起こしている気がします。
以前、船井総研の小山社長は名刺交換したら直ぐに出先から礼状を書いていると聞き、わたしも筆ペンと葉書を持ち歩くようになりました。しかし、出先で筆を手にすることは、実際やってみるとなかなか難しいものです。
ところで、電子メールと手紙について、アメリカのある大学に面白い調査結果があります。その大学の調査実験では、電子メールを使った場合、手書きの文書に比べて嘘をつく傾向が1.5倍になるというのです。
実験では、大学院生に仮想的な賞金として89ドルを渡し、別の人と2分割するように指示します。院生には「相手は、あなたがもらった額は5ドル〜100ドルの間ということしか知らない」と伝えてあります。
院生には「わたしは何ドルもらったので、あなたの分け前は何ドル」という内容の連絡を電子メールまたはペンと紙で行なってもらいます。その結果は、賞金の分け前で嘘をつく院生は多く、特に電子メールの場合の確率は92%だったそうで、紙とペンの場合の64%を大きく上回ったということです。
アメリカと日本の国民性の違いもあるのかもしれませんが、電子メールのほうが気軽なだけに深刻さや真剣さ伝わり難い気はしますし、伝えるほうも深刻さや真剣さが薄れてしまうのでしょう。
手紙でしたら慎重に言葉を選んで書きます。ところが電子メールでは書き直しが簡単ですから、とりあえず書いてしまって、そのまま深く考えずに送信ボタンを押してしまう。そんな経験は誰にもあるのではないでしょうか。考えると危険な道具でもあります。
わたしはかつて、ビジネスレターをパソコンで作成していたのですが、このごろでは出来る限り筆で書くようにしています。筆は書き直しが効かないだけに、味気ないPCレターに比べると、文章そのものは短くてもなんとなく相手の方に気持ちは伝わるようです。
ちなみに上記の実験で、自分がもらったとする金額の平均は電子メールの場合は56ドル、ペンと紙の場合で67ドルだったそうです。これもペンと紙のほうがまだマシですが、嘘をつかない人からすると五十歩百歩というところでしょうか。