Thanks Cardのススメ

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 先日、ある会社に伺ったところ、壁に貼られたThanks Cardにショックを覚えました。社員同士で「ありがとう」のメッセージをやりとりするThanks Cardは、あくまで個人的なものですから、それを公開してしまうということが意外でした。さらに、Thanks Cardを多くもらった人を表彰しているというのですから、考えてみると面白そうです。

 大石会計事務所でも2、3年前から「ありがとう」の気持ちを、言葉だけではなくてThanks Cardに託して相手に渡すことを奨励してきました。しかし、もらったカードは机の中に入れたままですから、誰がどれだけもらって、またどれだけ書いているのかは分からないままでした。

 他社の活動でも、いいと思ったものは素直にパクらせてもらうのがわが事務所の主義ですから、早速Thanks Cardを壁に貼り出してみました。しかも、社員だけではなくお客様にも見ていただけるように、事務所入り口の一番目立つところに貼ってみました。

 よい行動の強化・定着のためには、その行動に対して見える化を図り、社内で承認されることが効果的です。このThanks Cardの見える化によって、社員同士がどんな行為で喜び、喜ばれているのかをお互いに知ることで、自分に足りない何かに気付くことにもつながります。

 ところで、わたしどもが顧問先を訪問していると、社内の人間関係でご苦労なさっている会社がずいぶんあることを感じます。若干の仲良しグループならともかく、いがみ合ったり素直になれない派閥や人間関係は、組織力を弱めてしまいますから放っておくわけにはいきません。

 そのような会社にこそThanks Cardをお勧めします。口頭では伝えられないことも、紙に書いてなら伝え易いものです。はじめは少しだけ照れますが、帰りがけにそっと渡すか、デスクマットにはさんでおくだけでいいのです。

 家族間でのやり取りに使うのもいいかもしれません。夫婦や親子の間では、感謝の気持ちをなかなか口では言えないものです。中小企業では社内に家族社員がいるケースが多く、親族間でギクシャクすることも少なくありません。そんなときにもThanks Cardがあれば風通しも少しはよくなります。Thanks Cardは小さな組織ほど効果は高い気がしていますので、わが社の空気をよくしたいと思われる社長はぜひ試してみてはいかがでしょうか。

 最近、訪問した顧問先でThanks Cardを提案したところ、お喜びいただいて早速はじめると宣言してくれました。その社長は、社員同士だけではなく、お客様に対してもThanks Cardを発行したいとおっしゃっていましたから、これからの変化が楽しみです。