えこひいき

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『光陰矢の如し』と言いますが、月日が過ぎるのは早いもので今年もまた年の瀬となってしまいました。人生に与えられた時間から逆算すると、無為に月日が流れてしまう怖さを年々感じるようになってきました。

 どんなに景気が悪いと言っても、やはり年末に限っては多くのお店は実力以上の集客が出来てしまいます。単純に普段より多くの人が街に出ますから、どのお店にも集客されてしまっているだけなのです。しかし同時にサービスが雑になりがちなのもこの季節ですから注意が必要です。

 飲食店を例にとっても、この時期は売上優先で現場のオペレーションにだけ気を取られて、お客様の顔色を伺うことを忘れてしまっているお店は少なくありません。心をこめたおもてなしどころか、料理をできるだけ早く間違えないように出すことに神経の大半を使っているのは非常に残念なことです。

 ましてや、そんなに忙しい思いをするのは今月だけです。年が明けたとたんに、お客様数はガクッと減ってしまいます。特に2月は世の中の動きが停滞する月ですから、お客様を呼び込むことにどのお店も必死になるのです。その時になってようやく、12月がどれだけありがたかったのかが分かります。

 それにしても、新規客の集客には割引券等で優遇するのに、多くのお店はいつも利用してくれるお客様をどうして優遇しないのかが分かりません。新規客も大切なのですが、一番大切なのは既存のお客様に決まっています。たくさん利用してくれるお客様でしたら、なお大切にしなくてはなりません。ここで言うたくさんとは、回数ではなくてご利用金額です。つまり、たくさんお金を使ってくれているお客様は絶対に優遇すべきなのです。

 そのためには、あなたのお店で過去1年間の購入金額の上位2割の方をリストアップしてください。そしてその優良顧客を優遇してみることです。誰が見ても分かるような、明らかな優遇でいいのです。ヘビーユーザーを「えこひいき」することにクレームをつける人などいません。「えこひいき」されるほど、優良顧客の方々はお友達にあなたのお店を紹介してくれることになります。そして優良顧客に紹介された客様も優良顧客になる可能性が高いのです。

 常連客の前で、新規顧客が割引きチケット持参で同じものを安く買っていたのでは何かが違う気がします。お客様をランク分けして上位客ほど優遇する、しかも明らかな優遇とする。どのお客様をも平等に扱うことの方がむしろ不平等なのだと認識しなくてはなりません。これが本来のお客様本位の対応なのではないでしょうか。あなたのお店は役所ではないのですから。