マーケティングによる成功の最大のコツは一番化といわれます。特定のなにかで一番にさえなれれば、そこには競争が生じることはありません。あなたの会社には一番になれる強味がなにかありますか。
もし、強味がなくてシェアが低いという場合は、上位店のおこぼれを頂戴しているに過ぎません。たまたま近くにあったために来店されたのです。きっかけとしてはそれも悪くはありませんが、お客様には他店との比較の中でご来店いただきたいものです。選択されて、わざわざご来店いただけるような強味のある、特徴のあるお店づくりこそが目指すべき商売の方向性なのです。同業店と同じことをやっていたのでは、一番化どころかおこぼれにも与れないくらいに昨今のお客様の目は厳しくなっています。
例えば、スーパーマーケットの10分の1の面積で営業する小さな食料品店は、スーパーと同じ品揃えをすることは出来ません。そのスーパーに勝負を挑むのなら、ある特定の商品群についてはスーパーに優る品揃えが必要になってきます。したがって、当然商品アイテムも10分の1以下にしなくてはなりません。お客様が望む品揃えは、すべてのものが揃っているというものではなく、欲しいものが豊富に揃っていることなのです。
飲食店でしたら原価率35%にこだわることなく、一部に原価率50%のメニューをラインナップに加えてみてはいかがでしょうか。不振店の特徴は、料理でお得感がなくサービスでもお得感がないことです。少なくともどちらかでは「なかなかやるな」と同業者からも思われるくらいの個性がなくては市場で評価されることは難しいのです。もちろん繁盛店であればそんなことをする必要はありませんが、それでも意外なチャレンジは予想もしない気付きを生むかもしれません。やってみて失敗だと思ったらまたすぐに元に戻せばいいだけのはなしです。
厳しい市場の中で評価をされるためには、自分だけの価値観の中で普通に商売をやっていたのではいけません。集客力のある他店をよく観察してみてください。繁盛店の経営者は当たり前のように他店を研究する傾向にあります。それも同業種だけではなく、異業種のお店にも当たり前のように興味を示すのです。ある業界の常識やあなた自身の固定概念は、他の業界においては非常識ということも少なくありません。
一番といっても、なにもあなたの業界で日本一になる必要はありません。あなたの会社の強味を生かせるまで業種や扱い商品、顧客層、地域など事業領域を小さく区切る、あるいは区切り方を工夫してみてはどうでしょうか。小さな領域の中でしたら一番になれるなにかを発見できる筈です。それでもし一番化ができなかったにしても、自分たちが比較的優位に戦える土俵は見えてくるのではないでしょうか。