粘り勝ち

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 あなたはここ一番というときに強い人ですか。それとも、肝心なときにはいつもしくじってしまうタイプですか。最後の勝負どころで勝ち抜けることができる人は、いつも似たような傾向の人ではないでしょうか。わたしは、ここ一番に強い人を観察していると、粘り強さという共通点を感じます。

 逆に、ビジネスや勝負ごとで、はじめのうちは順調に事が運んでいてもノリが軽かったり、詰めが甘かったりする人の粘りのなさを見ていると、そのうちにコケるのではないかという危なっかしさを感じてしまいます。そして、実際その通りコケてしまう人が多いのです。昔から、『勝負は下駄を履くまで分からない』とか『やせ馬の先走り』と言いますように、勝負ごとは最後まで結果は分かりませんから、途中で油断することは絶対に禁物なのです。

 たしかに、勝負ごとには元々持っている能力やセンスも大事ですが、粘り強さの習慣は能力を上回ることも多く、特にビジネスに関しては簡単に諦めない粘り強さは能力よりはるかに大切であることはわたしの経験上明らかです。

 もちろん、勉強に粘り強さを発揮した人がスポーツでも粘りのある根性を出せるとは、誰も思ってはいませんし、またスポーツで粘り強さを発揮した人が商売でも粘り強いかというと、これもあまり関係がないようです。むしろ勝負ごとには粘り強くても、仕事での粘りがまったくないという人もいます。このように、あらゆる分野において粘りを発揮できる人は少ないものですが、それでも結果として勝ち組になるような人はそれぞれの分野で粘り強い人が多いのではないでしょうか。

 わたしは日頃から、わが子には粘り強い生き方を身につけてもらいたいとの思いで子育てをしているつもりですが、親の方がかわいそうに感じ、ついつい甘やかしがちになってしまいます。その意味では耐えなくてはならないのは親の方ではないかと、わが身を省みてしまいます。甘やかして喜ぶ子供の顔を見てほほえむバカ親でいる方がずっと簡単ですが、親の甘い接し方に対して、逆に厳しい対応を求める子供などいません。ですから、子供の自立した将来は親の心構え次第ということなのです。これには親としての責任を感じざるを得ません。

 そして、これは会社にも言えることです。経営者が緊張感を持って粘り強い姿勢で経営に臨まない限り、社員の方から勝手に緊張感のある企業文化ができてくることは絶対にないのです。あなたがもし、肝心なときにはいつもしくじってしまうタイプの人であったなら、とにかく最後まで粘ることを心がける必要があるのかもしれません。