グループ分け

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 はじめは一人か二人で始めたビジネスも成長を重ね、組織が大きくなるにつれ、次第に社長の目も行き届かなくなってきます。社長一人ですべてを把握することもコントロールすることも難しくなるときがきたら、いくつかのグループに分け各リーダーに一定の権限を与えて活動を統括させる必要があります。

 では、何のために企業内でグループに分けたり階層を設けたりするのかと言うと、それは社員を管理するためではありません。目的は経営者の意志を正確に伝え、機動的に業務を実施し、生産性を向上させることにあります。

 しかし、ここで注意しなくてはならないのは、階層が多くなるほど逆に小回りがきかなくなり改革が遅れる症状が出がちになることです。

 たとえば、A社長の下に、B部長、C課長、Dリーダー、最前線にEさんがいたとします。どなたも優秀な社員です。あるプロジェクトの企画をA社長がB→C→D→Eと指示したとします。Eさんは5日で仕上げる能力がありながらも3日の余裕を持って8日間で完成するとDリーダーに伝えます。同じくDリーダーも3日の余裕を持って11日かかるとC課長に伝えます。C課長もB部長もそれぞれ3日のサバを読みA社長には企画書の完成には17日を要すると伝わります。

 これはB部長以下の各階層に優秀の社員が揃っていても普通に起こってしまう症状であって、特に珍しい出来事ではありません。誰もが責任感が強いばかりに、堅く確実な報告を心がけた結果このような現象が起こるのですから困ってしまいます。

 このように階層が増えることは、結果として経営者の意思の伝達面においてマイナスに作用するばかりでなく、生産工程においても同じようなロスは起こる可能性がありますから注意が必要です。社員数50人位までの中小企業は、できるだけ縦の階層は厚くならないほうが良いのです。要するに社長と各グループが近いところにいる方が上手く機能するのです。

 『与えられた時間、人、モノ、金はどんなに余裕があったとしても、与えられただけ使い尽くされる』
     ……パーキンソンの法則