地方にある業績不振店の経営者の中には、同じ商売をやっても都会なら簡単に客が入ると思い込んでいる人がいます。きっと、星の数ほど消費者がいる都会なら簡単におこぼれに与れるとでも思っているのでしょう。それには大きな声で「ああ勘違い」と言わせてもらいます。大都市の需要は地方に比べると無尽蔵とも言えますが、大都市はそれ以上に競争も激しいのです。もしそうでなかったら、都会のお店は全部が全部、繁盛店になってしまうことでしょう。
挙げ句の果てには『当店の良さを分かってくれない』と地方客の水準の低さを嘆く経営者もいるのですから困ったものです。だったら、それを分かってくれる水準の高いお客様をターゲットにした商売をすればいいと思うのですが。
本当は、あなたのお店の業績不振の理由は、商圏人口が少ないのでもお客様の質が低いのでもありません。業績不振の原因は必ずこちらの側にあると認識すべきなのです。環境をコントロールすることは不可能なのですから、こちらが周りの環境に合わせるしかないのです。ビジネスにおいて、こちらに主導権があるのはターゲティング(客層の絞込み)までであって、そこから先は基本的にはこちらがお客様に合わせていくしかありません。
売上を伸ばすためには大消費地を狙えとばかりに、東京や大阪に進出しようとする経営者の気持ちも分からなくはありません。しかし、あなたの地元で局地的なシェアも確保出来ないでいるのに、都会進出で市場規模に比例した売上増を期待するなんておめでたいものです。ハッキリ言います。局地戦で勝てないお店は都会の激戦地でも勝つことは出来ません。
人口1万人の町で10人しかお客様が来なくても、人口100万人の都会に行ったらお客様は1000人になるということはないのです。そんな店のお客様は大都市に行ってもやっぱり10人なのです。逆にますます存在感をなくして、お客様を減らしてしまう可能性すらあります。地方で流行らない工務店や飲食店、美容院が都会に進出したからといって流行るかどうかをお考えいただければお分かりでしょう。
簡単に都市部に進出しようなどと考えずに、まずは地元においてシェアをアップして、確固たる存在感と影響力を示してから都市部への進出を考えても決して遅くはありません。むしろ、都市部で成功しようと思うのならその方が堅い方法なのです。