「社員に恵まれている」「こんな中小企業にいい社員がいてくれることがありがたい」…顧問先の社長が社員への感謝を口にされました。
いい話です。上手くいっている社長は感謝を口にされる傾向があります。でも、そのいい社員たちはみんな中途入社組です。
以前勤めていた会社から、何かの事情で転職してきた人たちです。今が概ね満足できる職場で働けているのだとしたら、とてもいいことではありませんか。
それでは、その社員たちがまた別の会社に行っても同じように活躍できるでしょうか。いい社員でいられるでしょうか。それは分かりません。
言えているのは、いまの会社の文化、いまの社長と合っているということです。その環境の下だからこそ充実感があるのです。
経営、特に中小企業は絶妙のバランスのもと成り立っています。ある経営思考、人生観を持った経営者の下に集った社員との関係が絶妙なのです。
しかしそのバランスが崩れるのは意外に簡単です。それは、社員の社長や幹部に対する信頼がなくなった瞬間です。
社員のレベルは社長のレベルに大きく関係します。いい社長の下にダメな社員が集まってくることはあっても、ダメな社長の下にいい社員が集まってくることはありません。
経営者や幹部社員には実務的なスキルや知識も大切ですが、何よりも必要なのは徳です。徳がなくては部下がついてきません。
社員に迎合する必要はまったくありませんが、徳がないのだけは困ります。私も心しないといけません。