皿の上

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 あなたは一度行った飲食店がどんなお店でしたら再利用されますか。もう行かないと思うお店にはどんな共通点がありますか。

 行かなくなるのは多くの場合、記憶に残らないか、気分が良くないのです。店内が暗い、トイレが汚い、店員の対応が悪い、客の質が悪い、駅から遠い、値段が高い(と感じる)・・・味以外の理由が多いはずです。

 なのに、繁盛しない飲食店は食材とレシピで皿の上の勝負をしたがる傾向があります。もちろんそれも結構なのですが、お客様が入らない原因はそこではないのです。

 味に磨きをかけて強みにすることは大切です。ただ、その強みも一定の水準を超えたらお客様には判定不能になります。

 かつて高級料亭の船場吉兆は食材の産地偽装や賞味期限切れ使用が発覚して閉店に追い込まれました。閉店は神様のお仕置きでしたが、私が言いたいのは、一人何万円もする高級料亭に通うお金持ちのグルメでさえ味や食材なんて分らないということです。

 三ツ星を目指すのでしたらそれも結構。毎日皿の上の研究をしていればいいのです。しかしお客様が行きたくなる理由は、別のところにあるのです。

 リピートするお店と一度きりで終わるお店の違いは、皿の上ではないと断言します。この数年を振り返っても、不味くて行かなくなったなんてお店がどれだけあるでしょうか。

 繁盛している他店を研究してください。偵察に行ってください。そこで、味は当店の方が絶対に勝っているのに…なんて言っているようでしたら先行きは暗いかもしれません。