大石会計の朝礼メニューには、『日本一宣言』のコーナーがあります。全社員が1年を通して「優しさ日本一」「前向き日本一」「勉強熱心日本一」などと、人差し指を高く挙げて、なりたい自分を宣言し続けるのです。
これはかつて私が学ばせていただいた、西田文郎先生が主催する西田塾の影響で始めたものです。西田先生はブレイントレーナーで、甲子園で2連覇した駒大苫小牧のメンタルトレーニングを請けていた方です。
指導に入った当時の駒大苫小牧は、甲子園どころか、地区大会の初戦突破さえ厳しい状況でした。
しかし子どもたちは素直です。「目標は全国制覇だ。お前たちなら出来る」と言えば、すぐにその気になります。人生における失敗が少ない若者たちは、簡単にプラス思考になれるのです。
子どもたちが家に帰って親御さんにその話をすると、人生経験豊富な親たちからは、「もっと堅実な夢を持て」と返ってくるのです。ごもっともな反応です。
結果として、駒大苫小牧はその後甲子園で優勝、しかも2連覇までしました。残念ながら3連覇は、ハンカチ王子を擁する早稲田実業に決勝戦で延長15回引き分け再試合の末敗れ準優勝に終わりましたが、立派な戦績です。
その翌年の甲子園優勝校は佐賀県の公立進学校の佐賀北、翌々年の準優勝校は静岡県の常葉菊川ですが、両校とも西田先生の指導校だったことに衝撃を覚えました。
これらの高校が、大坂桐蔭、東海大相模、早稲田実業などの強豪校だとしたら驚きませんが、全国的にはほぼ無名高校をメンタル指導によって大化けさせたことが衝撃です。
しかもこれらの高校の指導をしたのは西田先生の部下でした。当時の西田先生は超多忙で、2008年に私が出会ったとき、先生が直接指導していたのはたった一つの団体だけでした。
その団体は全日本女子ソフトボールチームです。同年の夏の北京オリンピックで、絶対に勝てないといわれたアメリカを破って金メダルを獲得したのです。
甲子園の駒大苫小牧も北京オリンピックの日本女子ソフトボールチームも、優勝した時に人差し指を天に挙げて喜び合ったものです。あれは優勝したから一本指を挙げたのではありません。練習のときからあの一本指のポーズが彼らの合言葉だったのです。
苦しい練習も、ヘコタレそうになった時にも、一本指を立てることにより、「俺たち優勝するんだろ」「頑張ろうよ」というポーズなのです。お互いが言葉を発せずとも通じ合える共通言語なのです。
そんなところから始まったのが、大石会計の「日本一宣言」です。すべての始まりは、たまたま本屋で手にした『№1理論』(西田文郎:現代書林)でした。私の人生を変えた一冊です。