人には仕事に対する考え方が大きく二つあります。どちらが正しいということではありませんが、あなたはそのどちら派でしょうか。
①仕事は嫌いで出来ることならしたくない。処罰が怖いので仕方がなく仕事はするが、向上心はない。
②仕事は本来楽しいものだ。出来ることなら責任のある仕事を任されたいし、チームのために自分の力を発揮したい。
もしも、私の娘が結婚したいと連れてきた相手が①タイプの男性だったら、きっと反対すると思います。
その人の哲学の中でも仕事観は重要で、そこの考え方次第で家族の人生は大きく左右されることになるからです。
では経営者の場合はどうでしょう。社長や管理者が部下に対してどのような見方をするのかはとても重要で、それによって企業文化はまったく違うものになります。
アメリカの心理学者・経営学者のダグラス・マグレガーは経営管理者の基本的な人間観が、企業運営のあり方に大きな影響を及ぼすと「X理論、Y理論」で唱えました。
・X理論…平均的人間は生まれつき仕事が嫌いで、強制、統制、命令、処罰がなければ、目標を達成するために十分な力を発揮しない。命令されることを好み、責任を回避したがり、野心はなく、安全を望んでいる。(①的な性悪説)
・Y理論…平均的人間は仕事が嫌いではない。適切な条件を与えると、目標達成のために自ら責任を引き受け自己管理、自己統制を発揮する。問題解決のための高度な想像力や能力は幅広い人々に備わっており一部の人だけのものではない。(②的な性善説)
Y理論の考え方はあらゆる問題の万能薬ではありませんが、人間の可能性を放棄するX理論よりも優れた経営スタイルかなと私は思います。
欲求5段階説を唱えたアブラハム・マズローは、自己実現は仕事を通してでしか実現できないと言いました。趣味の世界では自己実現などないのです。自己実現できるのは②やY理論的考え方を持った人ではないでしょうか。
それにしても、わが国の官僚は国民に向かって、「働きすぎるな、勉強しすぎるな、消費しなさい」と言います。英国のサッチャー元首相は国民に向かって「勤勉であれ、倹約しなさい」と言いました。働き方改革も結構ですが、ゆとり教育の反省もして欲しいものです。