平成元年8月20日、私は家内と二人で木造アパートの一室で大石会計事務所を創業しました。29歳のときでした。
アパートは、当時新婚だった私たちの愛の巣でした。看板も出さず、パソコンとコピー機を持ち込んだだけの小さな開業です。
開業当初は仕事がなく、朝からTVで甲子園観戦していたのが忘れられません。30年前の税理士は営業活動を禁じられていたので、やることがなかったのです。
ありがたいことに、私の開業を聞きつけた学生時代の友人、銀行員時代の上司やお客様が顧問先を紹介してくれました。お客様拡大の手段は紹介以外にはない時代でした。
開業から半年して、念願が叶ってワンルームの事務所を借りられました。スチールのデスクと棚、小さな打ち合わせテーブルだけのささやかなものでした。
そんな小さなオフィスの空間を眺めては、自分の力が形になっていくことに満足感を覚えたものでした。勤め人時代には経験したことのない心地良さがありました。
不思議なことに、社員が50人近くなった現在の方が、自分の力だなんて思えないのです。ご縁のあった多くの方々から支えられているというのが実感です。本当に感謝しかありません。
そして何より一番感謝を伝えたいのは社員たちです。まだまだ足りない事務所に、足りない私に、人生の貴重な時間を捧げてくれているありがたい社員たちです。
その社員たちが、8月20日にサプライズで花束を用意してくれていました。私はなにも用意していないというのに。
これまで事務所の周年行事は一度もしたことがありません。昨年の結婚30年すら忘れていたくらい無頓着な私です。
こんなにテキトウな私を信じてついて来てくれる社員のためにも、働きがいのある会社創りをしなくてはいけません。頑張ります。