今年の夏、大石会計からひとりの社員が地方都市で独立開業しました。事業は順調と聞きとても安心しました。真面目で一所懸命な社員でしたから、周囲から応援されるのだと思います。
久しぶりに会って仕事を真剣に語る彼を見ていると、私自身の30年前のことを思い出しました。
私の開業は、世の中が狂ったような景気に沸いていた平成元年でした。地価は上がる、サラリーマンも主婦も株式投資、OLも絵画に投資・・・・・・。そんな時代でしたが、木造アパートの一室で開業した貧乏な私は投資どころではありませんでした。
税理士の営業というと、今ではSNSを活用する人が多くなりましたが、ネット社会以前は口コミ営業が90%でした。DMすら禁止されていました。
従って、知人繋がりに税理士がいない中小企業経営者にとって、税理士との出会いは少しハードルが高かったようです。
電話帳を見て直接連絡くださる人も稀にいましたが、私たちは警戒したものです。他の事務所で断られ、顧問料を踏み倒し、税理士を転々と変えた結果大石会計に辿り着く、そんな経験は何度かありました。
飛び込み客を期待していなかったので、私は開業から10年以上看板も電話帳広告も出していませんでした。
口コミ紹介だけで開業2年で法人顧問先は50社になりましたから、我ながらよくやったなと自画自賛してしまいます。
いまの大石会計にはホームページ、看板、電話帳広告・・・・・・いろいろありますが、改めて営業は口コミが王道だなと思います。口コミの連鎖は、多少いい仕事をしたくらいでは起こりませんから。
創業間もない元社員の生き生きした目を見るにつけ、大石会計は創業から30年が経ちスタッフは50名近くなり、全体的に本気、活気、やる気が薄れてきたと反省してしまいます。気付かせてもらえたことに感謝です。