最近、とても素敵な95歳のお婆ちゃまとご縁をいただきました。お婆ちゃまとお話をしていると、どういう訳かこちらが元気になるから不思議です。普通であればこちらが元気で当たり前なのですが、どうしたってお婆ちゃまには負けてしまいます。
お婆ちゃまはよく、「何事も人に頼るのではなく自分で考え、決めて、実行しなさい」と言われます。ごもっとも、反省しかありません。
私は昨年60歳になって、人生の閉じ方を多少意識するようになりました。かつてなら定年退職の年齢です。30代や40代の頃は、これから何でもできると意気込んでいたものですが、60歳を迎えたとたんにそう思えなくなるからこれも不思議です。
これについてもお婆ちゃまは、「いくつになっても閉じ方を考えるよりも、新しいものを作り出そうとしなさい。最後まで弱気にならずに自分らしい生き方することが大切です」とおっしゃいます。
私が人生の閉じ方を意識したのでは、ついてくる社員には失礼な話です。若者たちが描いている夢の実現に、一役買えるような自分であらねばと反省しました。人に迷惑をかけてはいけませんが、前のめりのまま死んでいくのがいいですね。
森信三先生は修身教授録の中で、教師を目指す学生に向けて次のように言われています。
「そもそもこの世の中のことというものは、大抵のことは多少の例外があるものですが、『人生二度なし』という真理のみは、古来ただ一つの例外すらないのです。しかしながら、この明白な事実に対して、諸君たちは、果たしてどの程度に感じているのでしょうか」
これは若者に向けて語ったものですが、還暦を迎えても『人生二度なし』の覚悟で生き通さねば、この世に生を受けた価値もありません。お婆ちゃまの言葉を心の中で重ね合わせて、今日も反省です。