週末に税理士試験の合格発表がありました。このコラムを書いている時点ではまだ事務所内受験者の結果は聞けていませんが、良い知らせが届くことを願っています。
年1回の税理士試験は科目合格制をとっており合格科目は生涯有効です。最終的に5科目合格することで資格がもらえる制度です。多くの受験生は3~5年計画で働きながら勉強をしています。したがって最大のテーマは時間の確保です。
もしも大学生で将来税理士試験を受けようと思う人がいましたら、「今すぐにも勉強を始めるべし」とアドバイスしたいです。
卒業してから働きながら勉強出来ると思ったら大きな間違いです。いや、間違いではありませんがリスクが大き過ぎます。
就職しても終業後に十分な勉強時間が確保出来ると思いがちですが、多くの職場は17時以降がすべてプライベート時間とは限りません。やがて結婚し子供ができたら、どうしたって物理的に時間が制限されるので、何かを犠牲にするしかなくなります。
因みにですが、税理士試験の初受験から最終5科目合格までの平均所要年数は10.37年と国税局から開示されています。中には39年かけて合格にたどり着いた人もいます。
これは最終合格者に限っての平均ですから合格に至っていない人は含まれません。大半の受験生は0~1科目の合格で諦めてしまうのが現実です。
私の場合は、税理士試験の勉強を始めたのが銀行員時代だったので多くの人から反対されました。特に両親は私が銀行を辞めようとしていることに対して猛反対でした。昭和は銀行を辞める人はあまりいない時代でした。
後になって良かったと思えたのは、周囲に応援する者が少なかったことです。反対する人や失敗を祈る人が多いと、「なにクソ」とやる気になれるものです。
当時の受験仲間でも、税理士である親の援助を受けている人はなかなか5科目合格にたどり着けないなと思っていました。自力でやっている人は時間的にも経済的にも制限があるので結果を出すのも、また諦めるのも早くなります。
試験に限りませんが、ハードルの高い目標に挑戦するとき、多くの賛成があると意外に上手くいかないものです。周囲から反対されたり冷ややかにされたりすると、「なにクソ」とスウィッチが入り好結果につながることが多いと、30年の事務所経営を通じても実感しています。