ファミリー企業

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 日本では同族会社というと閉鎖的で良くないイメージを持たれる方が多いのですが、欧米においてはファミリー企業だからこそ創業理念が守られるとリスペクトの対象になるそうです。

 自動車産業だけ見ても米フォード、独ポルシェ、メルセデス、BMW、伊フィアット、仏プジョーと軒並みファミリー企業です。

「後継者不在で会社をM&A譲渡したい」「息子には会社を継がせたくない」・・・いま後継者問題で悩む中小企業の増加はもはや日本の社会問題となっています。

 経営者の人生観や経営観、会社に対する深い思いを一番理解しているのが家族です。ということは、親族内で会社を継ぐのが本来的には理想なのです。

 会社の経営というのは本当に遣り甲斐のある仕事です。人生をかけるだけの価値があります。その一方で苦労が多いのも確かです。社長には眠れない夜もある筈です。そんな自分と同じ苦労を息子にさせたくないと考える社長の気持ちも理解できます。

 かつて無借金で数千万円の賃料収入を上げている貸しビル業の社長が、息子には店子との交渉は無理だからとビルを〇〇億円で売却してしまった例もあります。交渉が難しいと言っても貸しビル業です。きっとそこには言葉にならない苦労があったのでしょう。

 私が理想とする国分グループは、オーナーの国分家を中心にした素晴らしい企業文化を持った創業400年、年商1兆9000億円のファミリー企業です。

 国分家の社員に対する慈しみ深さは国分の社員を通して伝わりますから本物です。もしも国分が上場していたらそんな素晴らしい文化は残せたでしょうか。

 親族内に承継候補がいない場合でも、社内に有能な社員はいないでしょうか。大石会計の顧問先様の中には、経営を任された社員が創業者以上に会社を発展させた事例もあります。資本と経営の分離が有効に機能した例です。

 M&Aによる譲渡を考える前に、社内を見渡してみてはいかがですか。時間に余裕がありましたら、そんな社員を育成するのも社長の大事な仕事です。