2000年に借りた住宅ローンがあと2年で完済になります。土地建物は家内名義になっているのですが、なぜか借金だけは私名義です。贈与税の配偶者控除(※)という特典を使った結果です。

　もう少しで住宅ローンがなくなる予定だったのに、一昨年60歳で借金コンクリート5階建ての事務所ビルを建ててしまいました。

　ひと様からは「やる気満々ですね」と言われます。必要だから建てたのですが、借金の返済予定は90歳までなので、その意味ではやる気を出さないといけません。

　ところで、みなさんは借金をどのようにとらえますか。ローンの返済予定表を見て、何年でどれだけ減るとか、何歳になったら完済だとか考えませんか。私はいつも考えていました。

　それがある時から見え方がまったく変わりました。償還明細表のローン残高が減ることと、自分の人生の残り時間の減ることが重なっているように思えたのです。

　重荷から開放されたからといって楽しい人生が待っているとは限りません。お金や時間に多少の余裕が出来ても、健康でいられないと意味がありません。

　お金がない、時間がない、休めない、でも寝食を忘れて夢中になれるものがある。これが人生で一番充実しているときです。これって若い時なのですよね。残念ですがもう戻って来ません。

　これからも借金の完済の日を楽しみにするのではなく、借金を返済するプロセスそのものを満喫していくつもりです。

『人の一生は重荷を負うて遠き道を行くが如し、急ぐべからず。不自由を常と思えば不足なし。心に望みおこらば、困窮したる時を思い出すべし』（徳川家康）

 

(※)贈与税の配偶者控除
婚姻期間が20年以上の配偶者に自らの居住用不動産を贈与する場合、評価額で2000万円まで贈与税が非課税となる制度です。代表的な相続税対策です。お問い合わせは弊社資産税チームまで。